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ABC座(Z)のある仮説

A.B.C-Z

※ネタバレあるかもよ。

先日ABC座(Z)2015を見てきた。

一幕「サンズ・オブ・ザ・マッシュルーム」について少し書きたいことがある。

2015年に売れないアイドルグループ『プラネッツ』が、60年代の日本にタイムスリップし、元バンドマンの五郎さんと出会い切磋琢磨し合うのだが……というお話。

今回、一回のみの観劇だったこともあって、皆さんの感想レポや深読みレポを読ませてもらってるうちに1つ疑問が湧いてきた。それは「なぜバンド名は、プラネッツでなければならなかったのか」というもの。

早速ネットでカチャカチャすると、1つだけ思い当たる記事がヒットした。

それはまさに一幕の『プラネッツ』と同じ名前のバンド「プラネッツ」の記事だった。

60年代の日本で、米屋の息子がボーカルをつとめ、ローリングストーンズを筆頭にイギリスロックに傾倒していたこと。地元では圧倒的人気をほこっていたが、活動期間はわずか2年だったこと。ヒットした記事にはそのように記されていた。

ショーでは、元バンドマンの五郎さんが酒屋の息子で、バンド内の喧嘩の後にメンバーの一人が亡くなり、バンドは解散した。という内容だった。

当時、ビートルズやイギリスロックを模倣するバンドは日本に腐るほどあっただろう。プラネッツという名前のバンドもたくさんあったかもしれない。

感想レポには、どうして五郎さんの役を演出の錦織さんがやらないんだろうか?という声もあった。

今回五郎さんの役をされたのは、錦織さんの先輩である曾我泰弘(ヤッチン)さんである。そして原案も。

曾我さんが当時実在したプラネッツというバンドを知っていた、いや詳細な設定からもしかしたら面識があったのかもしれない。

なのだとしたらプラネッツを知っていた原案の曾我さんでなければ、五郎さんという役は演じれなかったのではないか。

これは五郎さんのバンドの思い出を昇華する話かもしれない、という声もあったりしたが、まさにそれなのかもしれない。五郎さんのバンド=当時実在したプラネッツというバンド。何十年と経ってなお曾我さんの中で生き続けていたバンドの物語。

真実はどこにもない。もし真実があるのだとしたら、某映画制作会社をもじったオープニング映像からも分かるように、フィクションとしての物語こそが真実だ。



これは全くの余談だが、伊坂幸太郎さんの小説の中で「フィシュストーリー」という話がある。1975年に売れないパンクバンドである逆鱗が、現在の地球滅亡までタイムリミットが迫った地球を救うという話だ。セックスピストルズと同じくらいのパンクバンドだったかもしれない逆鱗が、当時の日本では早すぎたパンクゆえに時代がまだ追いついていなかったため、幻の名曲「FISH STORY」を残し解散したのだ。

戸塚さんは伊坂幸太郎さんのファンとして公言している。映画化もされたこのフィシュストーリーを知らない訳がない。

先ほど書いた活動期間2年のプラネッツと、戸塚さんが好きな伊坂幸太郎さんのお話のフィシュストーリーに出てくる逆鱗がダブって見えたのは言うまでもないし、因果を感じている。

今までのこれからのABC座(Z)は、何かに突き動かされているのかもしれない。