ボイメンと"夢は諦めなければ必ず叶う"ということ

"夢は諦めなければ必ず叶う"とは、彼らボイメンのスローガンである。

"僕たちは、僕たちの楽曲を通して、僕たちのメッセージを伝えていきます"とは、ナゴヤドームで、リーダー水野が言った言葉である。

 

5周年の企画映像で、タムさんが、笑いながら冗談っぽく、「誰も抜けるなよ〜」と言っては、他メンバーがそうだよなと笑いながら頷いてたそんな何気ない会話一つ取ったって、今となっては、叶わなかった夢の一つだったりする。

夢は諦めなくても、叶わないこともある。それでも、"夢は諦めなければ必ず叶う"と、なぜ言い続けるのだろう。

このスローガンであるがゆえに、諦めざるを得なかった夢が刃となって飛んでくる気がする、のは私の肥大した妄想だろうか。

 

彼らが練習場もなく、テレビ塔の下でやったこともないダンス練習をしていたことも、第一弾ミュージカル「ストレートDrive!」から始まったことも、社長がこれでダメなら諦めようと臨んだ第二弾ミュージカル「ホワイト☆タイツ」で人気を博したことも、200人集められなければ解散と言われ必死に食らいつき遥かにしのぐ数のファンで達成したことも、日本ガイシホールも武道館も愛知県体育館のライブも、レコード大賞新人賞のことも、後追いで知ったわたしにとって、輝かしい這い上がり方は、まさに"夢は諦めなければ必ず叶う"そのものに一見して見える。頑張ったんだね、すごいね、と。

 

でも、その輝かしく這い上がってきた背中には、叶わなかった夢の刃による無数の傷が見える気がしたのだった。結成当初からいつかはと掲げたナゴヤドームのステージにボイメンとして立つという夢を今まさに叶えている瞬間に、10人で「ストレートDrive!」を歌っているのを目の前にして、そう思った。

 

夢は叶わないことも往々にしてある、でも、誰よりも自分たちだけは、裏切られても裏切られても裏切られても悔しくて悔しくて悔しくても、夢は諦めなければ叶うんだと信じる気持ちだけは、捨てなかった。

その見えない傷を見ながら、彼らの"夢は諦めなければ必ず叶う"という重たい軌跡に、そっと拍手を送った。

 

今だって理不尽なことで叶わない夢もたくさんあるんだと思う。7割程度のナゴヤドームの客席に対峙するボイメンのパフォーマンスに、決して10割埋まらない実力ではなかった。もっとメディアに出られたら、10割いや12割の客席になったと確かに思っている。ナゴヤドーム満員御礼に向けて、一年間頑張ろうとしたことのいくつかは土俵に上がることすらできないまま、本番を迎えたんだろうと思う。これはファンとしての贔屓目は全然なくそう思う。

7割の客席と10割12割の客席とでは全然見える景色が違う。彼らに見てもらわなければならい、10割12割のドームの景色を。ボイメンファミリーとして一緒に戦う、ということにどこか嘘くささを感じていたけれど、一緒に戦う意義がようやく分かったから、今度は満員御礼のナゴヤドームで、彼らを見たいと思う。

7割の客席を前にしても、彼らから後ろめたさも諦めも感じず、ただただ堂々とした誇りだけを感じたのも、すごいことだ。冒頭の水野の言葉、忘れないだろう。

来年は、アリーナツアーがある。

目撃していたい。

"夢は諦めなければ必ず叶う"ことを。